松川 斎
キューポラ(cupola furnace)は、コークスの燃焼熱を利用して鉄を溶かし、鋳物(いもの)をつくるためのシャフト型溶解炉のことです。鉄を溶かして型に流し込む「鋳造(ちゅうぞう)」の工程で重要な装置で、鋳鉄製品の原料となる溶湯(ようとう)を得るために使われていました。ウィキペディア
川口の鋳物産業は、江戸時代中期頃から確立しました。荒川と芝川の砂や粘土が鋳型に適していたことや、江戸(現在の東京)という大消費地に近かったことが、鋳物産業の発展を後押ししました。
戦後も鋳物産業は活況を呈し、最盛期には川口市内に多くの鋳物工場があり、屋根からキューポラの煙突が林立する光景が見られました。川口市観光物産協会
1964年の東京オリンピックの聖火台なども川口の鋳物職人が手がけ、その技術が国内外に知られるように。
1962年公開の映画 『キューポラのある街(Foundry Town)』 は、川口の鋳物の街を舞台にした作品で、吉永小百合が主演しました。ウィキペディア
この映画は、鋳物工場で働く人々の暮らしや労働、家族の姿を描き、当時の川口の工業都市としての姿を象徴する作品として知られています。the tokyo files 東京ファイル
キューポラは、川口が「鋳物の街」であることの象徴でした。かつては市内に数多くのキューポラ(溶解炉)が稼働し、地域の風景や産業を代表する存在でした。
現在では鋳物工場の数は減少したものの、キューポラをイメージしたモニュメント(例:川口駅前・キュポ・ラ広場など)が設置され、街の記憶として大切にされています。川口市観光物産協会
川口市のマスコットキャラクター 「きゅぽらん」 のデザインもキューポラがモチーフで、街の産業文化を象徴するものとなっています。川口市公式サイト
戦後の最盛期と比べると、鋳物工場は都市化・住宅地化の進行で数を減らしましたが、技術は現在も一部の伝統的工場で受け継がれています。
新しい鋳物製品やブランド(例:「KAWAGUCHI i-mono」など)を通して、川口の「ものづくり精神」を発信する動きもあります。
川口のキューポラの歴史は、まさにこの街の鋳物産業の歩みそのものです。